過冷却水の話

過冷却水とは何なのか
 水の凝固点(水が氷に変わる温度)は0度である。だが、水に刺激を与えずに静かに冷やしていくと、0度以下になっても凍らない。この状態を「過冷却」と呼ぶ。「過冷却水」とは、「過冷却の水」という意味である。過冷却水は少しでも衝撃を受けると、瞬時に氷へと変化する。そのため身近にはあまり存在しないが、上空の雲の中は静かなので、この過冷却の雲粒が多く存在する。

消滅飛行機雲と尾流雲
 写真は、高積雲の中を飛行機が通過してしばらく経ったものである。上の写真では雲が消え、穴が開いたように見える。これを「消滅飛行機雲」と呼ぶ。下の写真では雲から下へ尾が伸びている。これを「尾流雲」と呼ぶ。なぜこのようになるのだろうか。
 写真を撮ったのは春であり、高積雲は主に過冷却の水滴でできていたと考えられる。そこへ飛行機が突っ込み、気流を乱した。気流が乱れたことによってショックを受け、凍りつく。こうしてできた氷晶は下へと落下し、尾流雲を形成する。こうして、消滅飛行機雲と尾流雲が誕生する。


 尾流雲が太陽の横にさしかかった際、幻日が現れた。これは尾流雲が氷晶でできていることを示している。また、太陽周辺の雲は広範囲に渡って彩雲となっていた。これは雲が水滴でできている証拠である。


戻る