伝説の3次の虹を求めて


第一章〜伝説の3次の虹とは

第二章〜ついに発見!

第三章〜再び撮影に成功!本当に伝説なのか?

番外編〜3次の虹データベース・リンク集


第一章〜伝説の3次の虹とは
 主虹、副虹に次ぐ3本目の虹(3次の虹:水滴内で3回反射した光による虹)は、なんと太陽側の空に、太陽を中心とした半径40度の円状に現れる。『太陽からの贈りもの』には、「この虹が見えない訳について、ニュートンやベルヌイはこの虹が淡いからだといっているが実際はそうではなく、むしろ、反対側の空よりはずっと明るい太陽の近くに現れるので、空の明るさに埋もれてしまうせいであるかも知れない。」と記されており、この虹の確認が極めて困難であることがうかがえる。事実、海外の大きな大気光象サイトにも、3次の虹については1件の目撃談しか載っていない。他にはシミュレーションによる3次の虹の形が示されているのみである。多くの虹ファンが、死ぬまでに一度は目にしたいと思っている、伝説的な現象だ。


第二章〜ついに発見!
 私は今年(2007年)の4月頃から3次の虹を意識していたが、2007年8月9日午前6時46分、ついに運命の時が訪れた。その日、私は前日の夜からまったく寝付けないでいた。そうこうしているうちに空が白み始め、朝になってしまった。私は「気分転換に散歩でもするか」と、愛機を手に家を出た。
 いつもの撮影ポイントへ来ると、虹が出そうな尾流雲や降水雲を探し始めた。あいにく、虹が出そうな状況ではなさそうだ。しばらくすると近所の子供達が公園に集まり、朝の体操を始めたので、暇つぶしに眺めていた。
 20分ほど経ったところで、東の空に大きな積雲がそびえているのに気付いた。よく見ると、雲頂付近から雲の中ほどにかけて、濃い尾流雲が落ちている。「これが進んできて頭上を越えれば、きれいな虹が架かるだろう。」と思い、じっとその雲を凝視していた。
 15分が経ち、その雲が頭上にさしかかった。上を見た瞬間、私は目を疑った。

 なんと、淡い虹色のアークができているではないか!これは3次の虹に違いない!そう直感した私はすぐさまカメラを向け、シャッターを切った。
 約10秒ごとに、3枚の写真を撮ることに成功した。撮影後、しばらくは震えが止まらなかった。

原画 強調(中央付近を左右に伸びている)
6:46:14
6:46:22
6:46:40


第三章〜再び撮影に成功!本当に伝説なのか?
 2007年9月30日、友達の家で朝まで遊んでいた。すると雨が降ってきたので、虹が出ないかと外に出てみた。しばらくすると、西の空に見事なダブルレインボーが架かった。「3次の虹はどうだろう?」と思い、太陽のほうを見ると、なんとなく色が違う部分があるように見えた。早速撮影して確認してみると、やはり3次の虹が写っていた。

 3次の虹は伝説とされているが、実はけっこう現れているのかもしれない。「空の明るさに埋もれてしまう」とあったが、その説は間違っていると思う。なぜなら、いくら空(というか太陽光に照らされた雨)が明るくても、そこへさらに虹の明るさが加わるためである。
 では、なぜ発見できないのか。それは、ニュートンやベルヌイが言っているとおり3次の虹が非常に淡く、パッと見ただけでは背景とほとんど変わらないからだ。今回、私はそれらしき位置を慎重に凝視して発見した。発見できない多くの人は発生している3次の虹に気付かず、「やっぱ出てないなあ」と視線を鮮やかな主虹の方へ戻してしまうのではないだろうか。それさえ気をつければ、割とコンスタントに見つかる現象だと思われる。とはいえ、副虹よりもさらに薄いため、発見が難しいことに変わりはない。

原画 強調(中央やや上を上下に伸びている)
6:45:21


番外編〜3次の虹データベース・リンク集
3次の虹を観測されましたら、当方までお知らせください。下表に加えさせていただきます。
観測日時 観測地 観測者 状況 URL
2007年8月9日6時46分ごろ 沖縄県宜野湾市(日本) NPC部長 晴れ。太陽高度10度。主虹・副虹は出現せず。尾流雲に出現。 当ページ
2007年9月30日6時45分ごろ 沖縄県宜野湾市(日本) NPC部長 にわか雨。太陽高度5度。同時に主虹・副虹を観測。 当ページ


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